Googleフォトは一定容量の範囲内の利用であれば、無料で使うことができますよね。
ここでは、Googleフォトをはじめとするクラウドサービス(One DriveやDropboxなど)がなぜ無料で使用できるのかについて解説していきます。


クラウドサービスの特徴
クラウドサービスとは、クラウド・コンピューティングとも呼ばれ、「ユーザーがインフラやソフトウェアを持たなくても、インターネットを通じて、サービスを必要な時に必要な分だけ利用する考え方」を意味します。
どんなふうに運営されているのかというと、Googleフォトであれば、Googleがみんなの写真を保存できるくらい容量の大きいサーバを購入して、そこにみんなが写真を保存して好きな時にそのサーバにアクセスして自分の写真を取り出すというもの。
現在のクラウドサービスの多くは、?GBまでは無料で利用が可能という風に設定されていて、逆にその容量を超える範囲でのサービスの利用にはサブスクリプションの月額制になっていることが多いです。
なぜすべて無料ではないのか
理論的には、Googleなどが保有するサーバというのはかなり容量が大きいため、一人当たりが使う容量を大体このくらいだろう(一般利用での用途の場合)と仮定した場合には、想定されるすべてのユーザーがその想定される容量分使ってもまだ余りある程度になるみたいです。
理論的にはね。。
実際、全ユーザーが無料で使い放題!という風にしたクラウドサービスの会社もあったようですが、一人で100TB使うバカタレが出てきて破綻したらしいです(笑)
完全に予想の範疇を超えた利用であったため、理論的には可能なのですが、実際の世界ではこういったことも起こるので、全ユーザの利用を無料にしているクラウドサービスというのは最近では見なくなりました。
それでも一部のユーザが無料なのはなぜか
ではなぜ一定範囲内では無料で使えるのかという本題に入っていきます。
もちろん、ユーザが増えれば貰える広告料も多くなるので、一部のユーザを無料にして広告料を得ることで採算をとることも重要なのですが、Googleはもっとすごいことをしています。
Googleフォトの場合、ユーザが提供した写真を使って自社のAIを学習させているのです。
AIはアルゴリズムというメカニズム(一つ一つ覚えていく)で学習していきますので、優秀なAIを作るのに重要なことは、データの量(学習素材)です。
なので、今後の時代を牽引していくようなAIの制作を世界の最前線で行っているGoogleのような会社にとっては、個人の撮った一見価値のないような写真も価値のあるものになるんですね。
そのような仕組み上、Googleフォトのユーザ数は多いほうがいい(データ提供料も増えるから)ので、無料にしているわけです。
GoogleのAI
GoogleのAIが描いた猫が2012年に有名になりました。
当時のサイトの記事では、このように書かれています。
今回の研究成果では、コンピューターは猫がどういうものであるか人間に教えられること無く、自力で理解した。
1週間にわたりYouTubeビデオを同ネットワークに見せたところ、ネットワークは猫の写真を識別することを学習した。
事前に猫をネットワークに教えたわけでも、「猫」のラベル付けをした画像を与えたわけでもなかった。つまり、ネットワーク自身が、YouTubeの画像から猫がどういうものかを知ったことになる。
具体的にどのような方法で実験を行ったのかというと、
・YouTubeにアップロードされている動画から、ランダムに取り出した200×200ピクセルサイズの画像を1000万枚用意し、これを用いてDeep Learning を行った(3%前後の画像に人間の顔が含まれていた。猫が含まれる画像もたくさんあった)。
・Deep Learning とは、ここ最近(2012年当時)になってその有効性が注目されている新しい機械学習の手法で、多段階のニューラルネットワークを構成する。
・ニューラルネットワークの最初の層の入力は各画素(200×200=40,000)のRGBの値で、9つの階層を構築した。
・1000台のコンピュータで3日間かけて学習を行った。
・その結果、人間の顔、猫の顔、人間の体の写真に反応するニューロンができた。
ニューロンとは人間の人体に存在する神経細胞と呼ばれるもの。最後の点について詳しく書くと、
・ニューロンはたくさんある。
・顔画像群を入力としたときに、もっとも敏感に反応するニューロンを選び出す。
・そのニューロンの反応を観察することで、入力画像が「顔」であるかそうでないかを、精度よく識別することができた。
・つまり、機械学習によって「顔に反応するニューロン」が生まれた。
このニューロンが最も強く反応した順番に並べた写真群が次のもの。
これをさらに最適化して、ニューロンがより強く反応する画像というのを出力したのが次の画像。
これをネコに対しても同じような実験を行い、AIが考える最もネコらしいネコというものがこれ。

このようなAI制作の背景から、GoogleフォトではAIの学習素材を効率的に収集するため一部のユーザには無料でサービスを提供しているということです。
このようにして、ネコという検索したときによりネコに近い画像を表示できるような技術が開発されているのですね。
データの価値
上述のように、AIやDeep Learningにはデータ量が欠かせません。
最近では、ビッグデータ解析などによって莫大なデータを瞬時に解析することが可能になってきています。
AIの制作のみならず、パーソナライズ広告の作成などにも個人情報が必要になります。
詳しくはこちらに書いています。

我々が無料で使えているというよりは、個人のデータ(サービスの利用を通じてしか手に入らない)を提供した対価としてサービスが使えるという構造になっているのです。
そのような環境下において、英語圏でないためユーザが集まらない・中国のような共産主義でないし人口も少ないといった特徴の日本では思うようにデータが集まらず、今後厳しい世界の企業との戦いを強いられることになるでしょう。
おわりに
今回の記事では前回に引き続きクラウドサービスについて書いてみました。
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コメント
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